2023年2月15日水曜日

ブランコについて

 所用につき、本日時事ネタはおやすみ。明日は本日分とあわせて更新します。

 「ブランコ」って日本語なんだろうか? ブランクとかブランカとかブランニューデイとか英語っぽい響きです。一方で、ブランブランするという日本語の擬音系単語のような気もする。結論からいうと、ポルトガル語がなまった説、擬音説などあり、語源はよくわからないらしい。
 物の本によると、ブランコとはもともと宗教行事だった。古くは地中海はミノア文明で紀元前1600年頃のブランコに乗った人の立像が発掘されており、それが遡れる最古の起源。その宗教行事が各地に伝播してインドではいまだに現役の宗教行事として祝われているとか。

『ミノア文明のすべてを展示 イラクリオン考古学博物館(2)』イラクリオン(ギリシャ)の旅行記
https://4travel.jp/travelogue/11553767
ブランコに乗るクリシュナとラーダー(ヒンドル・ラーガ)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/540361

 行事としては、豊穣を祈る行事です。女性ないし男女がブランコをこぐことで植物の成長が促進されるというのが基本的な考え方で、たとえば冬至の日に女性がブランコにのって太陽の再生を促す儀式だったり、雨乞いのための儀式として残っている地方もあるようです。
 よくインド映画で男女の青春を示唆する遊びでブランコに乗る演出があるけれど、あれは豊穣祈願を、青春の暗喩として使っているわけですね。それと似たような儀式はロシアやヨーロッパにもあったそうです。北欧の子ども向け映画なんかでブランコが出てくるのはけっこう多い。

ブランコ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B3
ぽかぽか春庭「嵯峨天皇のブランコ」 - 春庭パンセソバージュ
https://blog.goo.ne.jp/haruniwa2/e/2f0348222ff908401ff31c7ec381abb0

 ブランコが日本に伝わったのは嵯峨天皇の時代とされています。証拠として、中国宮廷で使われていた鞦韆というブランコを示す言葉が嵯峨天皇の詩のなかに出てきます。「共憐鞦韆好(共にブランコを楽しもう)」これは文字記録として残っている日本最古の例ですが、ブランコは縄と板さえあればできる遊びなので、もしかすると民間には別の形、別の名前でもっと古くから伝わっていたのかもしれません。これ、適当な話ではなく、ちょっとした裏付けがあります。

バンコク「ワット・スタット」の目印は超巨大ブランコ!? | タイ
https://www.travel.co.jp/guide/article/29358/

 鳥居って、バンコクのブランコ行事に使われる神具によく似ているんですよね。鳥居が東南アジアから豊穣の儀式とセットで日本に伝わったものの行事のほうは失伝し、鳥居だけが残った可能性があるわけです。鳥居については起源がよくわかっていないので、ちょっとしたロマンといえるのではないでしょうか。

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