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階層の話。
昭和末期、総中流時代と呼ばれ、圧倒的多数が中流の生活を送った。しかし、平成を経て令和になると中流が壊滅し、少数の上流と圧倒的多数の下流にわかれた。
圧倒的多数が中流なら、社会の価値観は中流になる。適度な努力と適度な才能やコネが重要という価値観だ。しかし、圧倒的多数が下流になると社会の価値観も変わり、努力はしないし才能もコネもいらないという価値観になる。
なぜかといえば、下流から上に上がりたくても中流という階層が存在しないので、下流からいきなり上流にジャンプアップしなければならない。そこまで階層を一気にジャンプするのはよほどの努力・才能・コネが必要で、チャレンジはだいたい徒労に終わる。アメリカを含む、だいたいどこの発展途上国もそんな社会構造になっており、下流は出世する気概とやる気を失う。
さて、どんな社会構造でも社会を統治するのは上流だ。上流は下流の価値観を理解できないが、中流の価値観は自分の価値観に近いので相互に理解できる。ゆえに、中流が圧倒的多数のときは、上流の政治や経済対策は効果的に働く。しかし、下流が圧倒的多数になると、上流の政治や経済対策は見当違いになる。これも発展途上国が経済成長できない一因だ。
さて、現在の日本を支配する老人層は昭和の生き残りの老人だ。ただでさえ上流は下流の価値観を理解できないのに、その価値観は中流層が多数派だった時代のもので、現代の下流が多数派になった状態を理解できていない。政治家だけではない。新聞が売れないと騒ぐマスコミも、物が売れないとなげく企業もおそらくこのギャップを理解していない。彼らがまじめに考えた政治や経済対策がピント外れになるのは、このギャップが原因だろう。
たとえばオリンピックで経済浮揚とか、投資で稼げとかの経済対策は、下流が主流の社会になったいま、想定した通りの効果がでるわけがない。下流の価値観的に、努力はしないし才能もコネもいらないのだから、投資する金があったら生活費の足しにする。実際、生活費にも事欠くのが下流なので、預貯金がない人間が圧倒的に多い。よって、彼らに必要なのは、かつての日本が得意だった、後進国を先進国に育てる手法。あれをそのまま自国にあてはめれば、中流が復活し、良い方に回るだろう。ところが、そのノウハウ、もう残ってないのかも知れないなあ。日銀でさえ、あのありさまだから、ノウハウの承継に失敗しているんじゃなかろうか。
2024年10月30日水曜日
階層の話
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時事2024/11/22
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