2024年11月28日木曜日

少子化で国家がバカになる仕組み

本日、所用につき、時事はお休み。

《独占スクープ》慶應幼稚舎に激震!現役児童の父が告白「現役教員らが絡んだ金とコネの入学ルート」、"お受験のフィクサー"に2000万円
https://www.news-postseven.com/archives/20241031_2001960.html?DETAIL

 ふと思ったが、日本には裏口入学とかコネ入社というものがあって、金やコネで地位を買うということができた。
 仮にその枠がバブルの頃、全国で毎年1万人だったとする。バブルの頃は全体の人数が多く、1万人は誤差のようなものだったかもしれない。しかし、現代になると少子化で全体の人数が大きく減るが、裏口の枠がそのままか、それとも枠数を増やして売り上げを伸ばそうとしていたら、裏口やコネで地位を買う人の割合は相対的に増えていることになります。
 コネだから無能というつもりはありませんが、無能な率が比較的高いとすると、現代日本は、昔の日本に比べて高い地位を、無能な人間が占めている確率が高いということになります。ゆえに、日本は少子化によって昔よりもコネ社会になり、無能な人間が出世する社会になったといってもいいことになる。
 優秀な人間が出世できず、金やコネがある無能が出世する。その結果、組織は腐る。もちろん話はそこで終わりません。これは別にコネに限った話ではないからです。
 少子化以前の採用基準を、少子化後もズルズルと続けている学校や企業はいくらでもあります。そうした時代遅れの組織が望む方向で子どもは教育され、企業は時代からずれた人材を喜んで採用する。そうやって組織は劣化していくわけです。日本のお役所がいつまでも古臭い組織なのはそのためでしょう。
 そういう理屈がわかっていて、じゃあ現代に求められる人材ってなんなんだという話になると、そこでコンセンサスがとれなくなる。少子化時代に求められる人材とその教育法はバラバラで正解がない。正解を求めるなら統計的にこの方法が正解と導き出さなければならないが、時代も手法も時々刻々と変化するので、それこそ国家プロジェクトとして研究すべき問題になるが、国家こそ古臭い組織なのでそれができない。
 次善策として、成功した企業のやりかたをリバースエンジニアリングする手法があり、世の中にある組織論はだいたいこの手が多い。しかし、統計的に正解を導くわけではないので、どうして成功したのかは勘に頼ることになり、根本的なところまで分析できず、再現性が低くなる。その結果、組織論の深いところは無視され、DXという物理的でわかりやすいところが進む。しかし、根本的な組織論は古いままなので、結局のところDXをしても焼け石に水になる。

『失敗の本質』の著者のお一人である、某先生を囲む会の席上で「『失敗の本質』自体が失敗だった」と仰っていて、誠実な方だなと思った話 - Togetter [トゥギャッター]
https://togetter.com/li/2412075

 組織論に話を伸ばすと、引き合いに出されるのが「失敗の本質」。昔読んでみたところ、これって失敗の本質であって成功の本質ではないなと思いました。失敗の本質を逆算すると成功の本質になるけど、その逆算が正確かどうかは統計をとっていないので、誰にもわからない。だから適当に引用して、適当な改善案を考えられる。逆算したから大丈夫という信頼感はあるが、その改善案が正確かどうかは度外視です。
 要するにリバースエンジニアリングの各論的な組織論であって、統計的なバックボーンを持った総合的な組織論が日本にはないということなのでしょう。

 で、統計ってなんやろって話になると出てくるのが大戦中の爆撃機の話。帰還した爆撃機を調べ、銃弾跡がある場所を中心に装甲すれば帰還機が増えると現場で改修する。これがリバースエンジニアリング。で、統計というのは、そもそも帰還しなかった機まで調べるわけです。すると帰還しなかった機は、エンジンやらコックピットやらを狙われて墜落している。本当に装甲が必要なのは帰還しなかった機の銃弾跡なんだよという話。

爆撃機の装甲を厚くすべきなのは「対空砲火を受けた場所」と「受けていない場所」のどちらか? 真実は「見える情報」の中にあるとは限らない
https://president.jp/articles/-/58076?page=1

 目の前にあるものから教訓を引き出すのがリバースエンジニアリングで、統計は目の前にないものをデータから類推する作業。日本人は現場でリバースエンジニアはするが、経営が統計をとらないので、失敗の本質を捉え間違いしているのではないかという話になる。それはそのまま軍隊以外にも、会社や経済の話にもなる。現場が優秀でも、経営がアホなら、対策は間違った方向にしか転がらない。でも、やった気分にはなれる。それで満足してしまって、あとは根性論になってしまうという話が下のリンクの、八甲田山。

遭難して半数以上生きて帰れなかった…そういう系のまとめ動画を観てるんだけど「仕事できないチームにそっくり」だった。 - Togetter [トゥギャッター]
https://togetter.com/li/1955301

 そこまで考えていくと、AIって結局、統計なんですよ。日本がAIを活用できたら統計的なバックボーンを持った組織論が作れるのだけど、AIに食わせるようなデータを組織や国家が持っていない。どういう統計をとればAI的に有用なのかという視点が経営にないから、とりようがない。だから、AIがあっても役に立たない。AI時代なのに効率が悪い事ばかりして競争力が高まらない。
 統計がうまくとれていたら、少子化なんてすぐに片付く。その少子化対策を語るとき、欧米では~とか世界では~とかいうのも結局は、リバースエンジニアリングなわけです。成功例だけを取り出し、失敗例には目もくれない。成功も失敗もまとめて統計をとってはじめてわかるデータがあるのに、その視点が抜けている。抜けているというか、分析にそこまでコストをかけることに意味を見いださないのだろうなと。その体質が問題。

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少子化で国家がバカになる仕組み

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