2022年9月30日金曜日

自民党支持者が、2012年以後の自民党に感じる「モヤモヤ感」の正体

自民党の統一教会汚染 追跡3000日 | 鈴木 エイト
https://www.amazon.co.jp/dp/4093801231/
 鈴木エイトの「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」を読んだ。
 タイトル通りの内容ですが、読んでいて思ったことや、書き留めておきたいことをここに書いておく。

 とりあえず結論からいうと、自民党は韓国カルトである統一教会に「背乗り」をされていた。統一教会は背乗りをする課程で組織の名称を変え、世間に受け入れられやすいように工夫した。まるで「通名」だ。おかげで社会は背乗りされていることに気づかなかった。市井の一家族ならともかく政党が背乗りされるなんて、という油断もあったのだろう。そして背乗りされた自民党は、それ以前と以後で性格が変わってしまった。相変わらず「自民党」と名乗っているが中身はすでに別物になっていると思った方がいい。これについては後述する。

 2012年以後の自民党に対して持っていたモヤモヤ感はこの本を読むと解消する。
 たとえば野党がジェンダーを武器に選挙を戦った一方で、自民党は反ジェンダー反共産主義を武器にした。自民の反ジェンダー反共産主義は老人受けを狙った人気取りかと思っていたし、そういう側面もあっただろうが、実際には統一教会の倫理観に沿ったものだった(2012年以前は反ジェンダー反共産主義をいまほど武器にしていないことからもそれがわかる)。
 というのも統一教会は反ジェンダー反共産主義が教義で、彼らが選挙協力する候補は反ジェンダー反共産主義を武器にすることで教団の支持を得られる。そしてその反ジェンダー反共産主義という価値観は、半島のカルト宗教の倫理観に沿ったものなので、我々日本人一般の倫理観を持った人間に伝わると、なんとなくわかるけれどわかんねーよ的なことになる。これがモヤモヤ感の正体だ。おそらく韓国ドラマとかのごり押しも同じ文脈で行われている。さらに自民党の議員が日本人に語りかける演説の内容も、2012年以後は次第に韓国ライズされており、日本人一般の感性から離れてきている。自民党が長期政権を築いているのに支持率が上がらないのはそれが原因のひとつだろう。

 1つ目、2012年の第二次安倍政権から統一教会の自民党汚染が始まる。きっかけは、安倍が改憲のために長期政権を望み、それを支えるために安倍派(改憲派)の集票装置が必要になり、統一教会の集票力を見込んだこと。こうして統一教会は、自民党の「改憲派」議員を中心に選挙協力をしていく。第二次安倍政権初期に発表された自民党(日本会議)の改憲案が家父長制への回帰とか前近代的な内容だったのは、家父長制で前近代的な宗教組織であった統一教会の思想を反映したからだろう。そのあまりのできの悪さに改憲案は棚上げになり、そのまま放置される。10年たっても目標を達成できない自民党の改憲派を名乗る議員たちは非常に質が低いことがわかる。
 個人的な話で申し訳ないが、改憲賛成派の私が自民党に絶望したのはコレ。10年かけて成果がゼロなくせに「民主党よりマシ」と開き直るのは醜悪。ブラック企業の経営者でもそこまで自意識過剰ではない。そして安倍は改憲という目標が潰えたのに、長期政権を敷いて自民党の統一教会汚染を進めていく。

日本会議 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BC%9A%E8%AD%B0
旧統一教会側と自民党、改憲案が「一致」 緊急事態条項、家族条項…濃厚な関係が影響?
https://www.tokyo-np.co.jp/article/193136

 2つ目、野党がジェンダーフリーを旗印にして集票しているので、安倍は反ジェンダーを自民党の方針にすえて集票装置とした。統一教会や日本会議も反ジェンダーを旗印にしているが、これらに影響された結果ではないか、という話がでてくる。最近ではSDGsに関係する太陽光発電や燃料電池車への傾倒も統一教会の仕込みと疑われているが、それと同系統の話。これによりジェンダー論が右と左の自己実現に使われ、本来の意味でのジェンダーは置き去りにされて議論が深まらなくなった。

 3つ目、菅や岸田も統一教会とズブズブだった。また産経の記者あがりの北村議員は、統一教会とズブズブ(詳しくは下のWiki参照。おそらくその縁で、産経の保守系論調も2012年頃から安倍の親衛隊的な論調に変わった)。つまり、安倍が暗殺されたからといって自民党と統一教会の縁が切れる訳ではなく、関係が深い議員は現在進行形でたくさんいて、彼らは自民党と一体化している。これは冷静に見ると、カルト宗教が与党に対して「背乗り」を行い、その突破口に安倍が使われたというのが正しい理解か。
 中国史で王朝の前期と後期を前漢、後漢と前後に分けることがあるけれど、2012年を境に自民党も前自民、後自民と分けられるかもしれない。それほど2012年以後の自民は統一教会の影響力が強く、それ以前の自民党と別物になっていると認識した方がいい。そして変質した部分は求心力の低下という形で、やがて現れるのだろう。

北村経夫 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9D%91%E7%B5%8C%E5%A4%AB
背乗り - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%8C%E4%B9%97%E3%82%8A

 4つ目、なぜカルト宗教による背乗りが成功したのか。政治家を使って公安を真っ先に陥落させたから。ここは公安側の証言を見たいところだが、出てくるかは微妙。そして公安が陥落したことで、カルトを止めるブレーキがなくなり、やりたい放題にされる。ここは日本国というシステムの制度欠陥なのだろう。
 普通の国なら警察系の公安を監視するために軍事系の情報組織が存在するが、日本の場合はそれが不在のため、公安が陥落すると背乗りを止めるものがいなくなる。その制度を自分の手駒を使ってさらに都合良くあらためようと統一教会が根回ししていたのだから、なにをかいわんやである。さらに、すでに報道されたように陸自出身のヒゲの隊長や海自の将官も統一教会の関係者だったり、背広組の防衛副大臣なども統一教会が汚染しているわけで、自民党が背乗りされたというより、日本国が外国のカルト宗教に背乗りされたというのが正しい。

 5つ目、2012年当初は様子見をしていた自民党議員も、2018年頃になると統一教会と付き合ったことをとがめる人や組織を統一教会と安倍派が徹底的に黙らせたため、続々と統一教会にたかるようになる。本には裏のとれた事実しか書いていないが、保守派を名乗る自民党議員が献金をもらうかわりに統一教会の教祖様をマザーとか称えて褒めちぎる様は本当に醜悪。ついでに、この本には書いてないが、マスコミも統一教会の広告出稿(部数が落ちているので、広告費はわりと生命線)に負けたんだろうなあ……。
 つまり、2018年頃に統一教会は自民党保守派への背乗りを完了させていると見てもいいだろう。論拠は大臣やら要職やらの顕職に、統一教会の関係者が急増したこと。自民党の主流派は統一教会の影響を受けており、その癒着はすでに引き返し不可能なほどに進んでいる。
 ところでこの本に実例が出てくる議員、著者が東京人のためか東京近辺の議員への取材が多い。私の地元は、もともと新興宗教天国だったけれど、思った以上にガッツリ食い込まれていた。例にあげられた地名や名前が出るたびにうんざりする。

 6つ目、安倍の内閣改造で多数の大臣や要職に統一教会派の議員が就任した2018年頃から統一教会の活動が露骨になる。また、この頃になると韓国統一教会が「日本人の学生が、従軍慰安婦への罪を認め、韓国で謝罪するツアー」を開催するなど、宗教組織ではなく政治組織として活動するようになる。それまでも似たようなことはやっていたがあくまで「日本人の信者が」だった。
 統一教会の教えは極言すると「道徳的に勝る韓国人へ、道徳的に劣る日本人が隷従し、金品を貢ぐ」こと。2018年頃まで自民党の保守派は、宗教組織が宗教活動でやっていることだからと金品を貢ぐことを黙認していた。しかし、2018年頃から、統一教会が宗教活動を離れた政治パフォーマンスを行っても、これを黙認するようになる。そのため統一教会はさらに増長し、日本人信者への隷従と献金額の増額を強く要求するようになる。同時に被害者数も急増するが、政府はこれを黙殺する。やがて安倍が辞任し、菅、岸田と統一教会の息のかかった政治家が首相の座につく。この頃になると統一教会とまったく関係ない自民党政治家は少数派になっている。自民党の黙認姿勢は変わらず、2022年、過剰な献金要求で家庭を破壊された信者の家族が、安倍を暗殺する。

 7つ目、自民党がコーヒーで、統一教会がミルクなら2012年頃はまだコーヒーにミルクが垂らされた状態で分離は可能だった。しかし2018年頃には攪拌が進み、自民党と統一教会は一体化。すでにコーヒーミルクになり、分離は不可能になっている。この状態で自民党と統一教会はコーヒーを自称しているが、有権者は安倍の暗殺を機に、コーヒーとコーヒーミルクの違いに気づいた。そしてコーヒーは好きだが、コーヒーミルクは嫌いという層が、反自民党になった。
 そうやって問題点を整理すると、コーヒーミルクがコーヒーを詐称していることが問題とわかる。この種の詐称は背乗りの特徴で、それゆえにゆえに自民党が背乗りされたこともはっきりわかる。有権者としては、自民党統一教会派閥と自民党反統一教会派閥に分かれてくれたほうが応援しやすいが、分かれないのであれば自民党そのものをあきらめるしかない。いまはそういう認知が進むフェーズにいるのだろう。
 ところで背乗りされたのは自民党だけでなく自衛隊や公安や警察もされているはずで、政治家は選挙で落とせば新陳代謝できるが、ほかの公務員はどうすればいいのだろうね。レッドパージするにしても、日本にはレッドパージができる組織はない。アメリカの共和党も統一教会に浸透されているのは日本と同じで、頼りになるのかよくわからない。
 最悪の可能性として、いま自衛隊が台湾有事を意識してあれこれ準備を進めているが、統一教会隠しのために台湾有事が使われる可能性は念頭に置いた方がいいだろう。コーヒーだった頃の自民党はそんなアホなことはしなかったが、コーヒーミルクになってしまった自民党がそんなアホなことをしないと断言できるほど信頼はないのだから。

背乗り - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%8C%E4%B9%97%E3%82%8A

0 件のコメント:

コメントを投稿

時事2024/05/17

容体回復の兆候 政権批判の詩人を拘束―スロバキア首相銃撃 https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051600285&g=int スロバキア首相銃撃、欧州の政治的分極化が最悪の形で露呈 強権政策に市民ら反発 https://www...