ふと思ったのだが、「国家」という日本語は誤訳ではないかなと。
英語を見ると、国家と翻訳される単語はNation、Country、Stateなど、たくさんある。
Nation=語源は「同じ土地の生まれ」で、都市国家が背景にある言葉。
Country=語源は「田舎」で、都会と田舎という対比から生まれた言葉。
State=語源は「立つ」で、安定している統治組織くらいの意味か。
英語では、これら複数の単語が統合されず、場合によって使い分けられている。一方、日本はNation、Country、Stateも「国家」と訳される。さすがに学問レベルでは区別がついているが、一般レベルでは区別されていない。
日本語の「国家」は「Nation」や「Country」が近い。同じ土地の生まれ、すなわち「家族」だから「国家」と訳した。これはわかりやすく名訳だろう。
一方で、アメリカ人は自分の国を「ユナイテッドステイツ」と呼ぶ。Stateは「統治組織」くらいの意味だ。アメリカは移民国家なので、ひとつの土地に複数の出身も由来も違う家族が混在することが当たり前なので、血縁以外の方法で集団をまとめる組織が必要になり「ステイツ」が発明された。
このように、日本とアメリカでは「国家」の前提が違う。だから、ステイツを「国家」と呼ぶのは間違いだが、それに代わる言葉がないので国家と呼ばれている。言葉とは不思議なものでアメリカを「国家」と呼んでいると、そのイメージに引っ張られて、あたかもアメリカが日本のような血縁集団であると勘違いをはじめる。
で、あげくの果てにアメリカを知らない日本人は「アメリカ人は日本人と違って乱暴者だ。その証拠に銃で過剰に武装し、国民同士で殺し合っている~」と考えてしまう。これは血縁集団である日本人なら銃で誰かを殺せば親戚を撃ったようなものだから抑止力が働く。一方で、アメリカ人は銃で誰かを殺しても血縁以外である可能性が高いので抑止力が働かず、自分も武装する必要があるということを忘れているのだろう。仮にアメリカを常日頃から「国家」と考えずに「ステイツ」と考えていたら、そういう勘違いは起こらないはずだ。
逆もまた真なりで、アメリカ人は日本人を理解できない。彼らに血縁集団の「国家」の概念がないからだ。アメリカ人の日本探訪記を読むと彼らが日本旅行で印象に残った点をいくつかあげるとき、治安の良さがあげられることが多く、その理由がわからないと書く。これは先にあげた「アメリカ人は日本人と違って乱暴者だ~」の裏返しなのだ。
昨今、Xで外国人と日本語でやりとりできる機能が追加された。国家観についてアメリカ人と意見交換するとき、この「国家」という言葉の翻訳が問題になるだろう。Nation、Country、Stateが英語で表示されるなら見分けもつくが、一律で「国家」と翻訳されたら相手がいいたい細かいニュアンスがわからなくなる。こういう誤訳がそのまま定着した例は「国家」以外にもいろいろあるんじゃないかねえ。
2026年4月5日日曜日
「国家」という日本語は誤訳ではないか
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